人魚の声

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二人で駅近くのドーナツ屋でレモンティーを飲んでいる。 可愛い熊の形をしたドーナツも一緒だ。 「可愛くて食べるのが勿体ないんだけど、注文しちゃうんだよねー」 「その気持ちよくわかる」 そう言う真知ちゃんは猫型のドーナツを皿に乗せている。 「ところで、南」 「んー?」 「南も遠慮なんかしないでよね。人魚姫のこと」 「な、何言っているの?私はそんなんじゃないって!私のはただの好奇心だから!」 「本当に?」 真知ちゃんの目。ちょっと怖い。嘘は許さないって顔をしている。 私はこの心地よい関係を壊したくない。 つまりは好きだとしても、その程度だってことなんだと思う。 だったら、答えは一つ。 「本当だよ」 頬に力を入れて笑った。 会計を済ませてから店を出る。 暫く歩いたところで、真知ちゃんが急に止まった。 そんな彼女の背中に顔面をぶつけてしまった。 「どうしたの?」 「あれ、見て」 そう言って、指差す方向には岡くん。 ーーと、見知らぬ女の子。 どこの学校かはわからないけど、ブレザーを着ている。
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