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2話
翌日の朝、和暁から後で出社すると連絡が入った。
昨日の疲れで寝坊でもしたのか?
…あいつに限ってそれは無いか。
俺の知る限り、あいつが寝坊したなんて話は聞いたことがない。
まさかとは思うが嫁絡みじゃ…
外れてなさそうだと思いながら会社で待っていると、和暁はいつもより30分遅れて出社してきた。
「どうしたんですか社長。何かあったんですか?」
「悪い。知亜希が朝部屋から出てこなくてな。どうやら体調が優れないらしい。」
「え、まさか妊…」
「いや、それはまだ有り得ない。」
やっぱり嫁絡みじゃねーか。
まだってことは、今後は有り得るのかよ。
本当契約の事どうするつもりなんだか。
「…奥様の体調は大丈夫なんですか?」
「頭が少し痛いだけだから寝ていれば治ると本人は言うんだが…後でもう1度電話して、治らないようなら病院へ連れて行くつもりだ。」
…こいつ、意外と過保護だったんだな。
どうせ嫁限定だろうけど。
いい大人なんだし、必要なら自分で病院ぐらい行くだろうに。
「それで結城。例の件だが…」
「はい。手始めにある人物について調べてみようかと。」
「ある人物?」
「例の女子社員です。」
「知亜希の同期だという彼女か?」
「はい。」
「彼女は違うと思うが…まあいい。お前に任せる。」
「何か分かれば報告します。」
やっぱり和暁は三好由香ではないと思ってるんだな。
違うなら違うで構わないが、現時点で一番疑わしいのは間違いない。
さてどうやって接点を作るか…それが問題なんだよな。
仕事上彼女に声をかける理由は俺にはねーし。
どうするか…
「どうした?」
…そうか。
話しかける理由目の前にあったわ。
「いえ、いい案が浮かんだもので。」
これなら変な風には思わないだろ。
満面の笑みを浮かべながら計画を練る俺を、和暁は怪訝そうに見ていた。
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