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31話
「大丈夫か?」
夜半をとっくに過ぎ、ぐったりとベッドに横になっている由香を覗き込む。
「だいじょぶ…です…」
掠れ気味な声を聞いて、暴走した自分を少しだけ反省した。
お詫びというわけでは無いが、自分の腕に由香の頭を乗せて軽く抱き寄せる。
「温かい…」
「それなら良かった。」
気怠さと疲れからか、由香の目が今にも寝そうな程に閉じかかっている。
「なあ、由香。寝る前に1つだけ確認したい事があるんだが。」
「はい。」
「お父さんの月命日には毎月帰ってるのか?」
「そうですね。一番近い週末には、弟と一緒に帰るようにしてます。」
「そうか。次に帰る時は俺も一緒に帰るから。由香の家族に挨拶しないとな。」
「はい…」
限界を迎えたのか、ふわっと一瞬笑顔になった後、すぐに小さな寝息が聞こえ始めた。
この分だと、今の会話を覚えてないかもしれないな。
眠そうな時に話した俺が悪いんだが。
「おやすみ。」
幸せそうに眠る由香の頬に唇で触れた後、俺も眠りに就いた。
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