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「病める時も健やかなる時も…」
式が始まり、牧師の言葉を聞きながら目の前の由香を見つめる。
この1年で、俺の人生は180度変わってしまった。
誰も愛せないと思っていたのに、思ってもいないきっかけが運命と言ってもいい出会いになった。
「…愛し続けると誓いますか?」
「誓います。」
「では、誓いのキスを」
顔にかかっているヴェールを捲りあげると、由香の顔が漸くはっきり見えた。
今日は特別可愛いな、と思いつつ顔を近付ける。
最近はちょっと油断すると、仕事モードで和暁と惚気合戦になることがある。
1度その会話を別の秘書に聞かれた時に、ものすごく呆れた顔をされてしまった。
それもこれも全部、由香が可愛いせいだ。
「…っ?」
俺が中々離れて行かないからか、由香が焦っているのが伝わってくる。
人目の前、結婚式の最中だとは分かっているが、触れたら止まらなくなってしまった。
これも由香が可愛いせいだと言ったら、きっと真っ赤な顔で睨まれるんだろうな…
そんな可愛い彼女の姿を想像しながら、式場が少し騒めき始めるまでの間、永遠の誓いを見せつけるようにキスを続けていた。
===END===
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