中毒。

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. 「だーーーっ!!」 仕事がうまく進まなくて、やなことだらけの週初め。 家に持ち帰ってきた大量の資料を放って そのまま後ろに倒れ込んだ。 「……あいつ、何してっかな」 ちょうど倒れ込んだ横に転がってた携帯。 それを手にして、もう慣れた手つきで目的の画面を出すと そのままなんの躊躇もなく、通話ボタンをタップする。 「もしもし?」 「あ、おれおれ~」 すぐに電話に出てくれるのがこいつのいいとこ。 「オレオレ詐欺ですか?」 「そうでーす、ちょっとお姉さん引っかかってみません?」 「遠慮しときまーす」 「んなこと言わずにさ~」 こんなくだんないやり取りに クスクス笑ってる萌衣の声が小さく聞こえてくる。 「今どこなの?俺んち来る?」 「え?今から?」 「おん、じゃあ待ってっから」 「ちょっ、━━━━━ツーツー……、 萌衣の言葉を遮って電話を切った。 そしてそのまま携帯をまた床に放って 書類をひとまとめにすると、冷蔵庫からビールを取り出し口にする。 きっとこのビール一本飲み終わる頃には 萌衣は絶対俺に会いに来るから。 . ━━━━━ピンポーン、 「はいはーい」 「オレオレ詐欺に引っ掛かりにきました~」 俺の予想通り、ちょうどビールを飲み干すとやってきた萌衣。 手にはコンビニの袋をぶら下げて いつもの仕事スタイルとは違い、緩くてラフな笑顔で立っている。 「よし来た、金ぶんどってやっからな」 「随分と正直な詐欺師だね~」 しつこいくらいのこの冗談にも楽しそうに付き合ってくれるし 呼べばすぐに来てくれる。 でも付き合ってるわけじゃない。 不思議な関係だ。
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