中毒。

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「それ、何買ってきたの?」 「ビールと、ちょっとおつまみ」 「お、いいっすね~」 お皿借りるね、ってもう慣れた様子で食器棚から皿を取り出し 買ってきたつまみを乗せていく。 袋とかパックをそのまま出すんじゃなくて いちいち皿に出すあたり、女だなーって変に関心したりして。 「賢人は何してたの?」 「俺はさっきまで仕事してたんだけどさ 全然終わんねぇし、もうやめた。 明日死ぬ気で頑張るわ」 「ふふ、それでむしゃくしゃして私を呼んだわけだ?」 「正解」 「ひっどーい」 私をなんだと思ってんのよ、って笑いながら おもむろにテーブルの上のリモコンに手を伸ばしてテレビをつけた。 「萌衣は何してたの?」 「わたし……、は別に、なにも……。」 テレビに写ってる海外ドラマ。 そんなの興味なんてちっともないくせに その話題を誤魔化すように少しだけボリュームをあげる萌衣。 「ふーん」 「……もう一本ビール貰うね」 「おう、飲め飲め」 いつの間にもう一本飲みきってたのか 冷蔵庫に向かおうと立ち上がった萌衣のポケットからスマホが落ちた。 「落ちたぞ、スマホ」 「あ、ごめんっ」 「大丈夫?壊れてね?」 それを拾い上げて動作確認しようと画面をタップしてみるけど 真っ暗なままで無反応。 「あれ?画面つかねんだけど」 「あー…、電源切ってるから……。 でも多分大丈夫だよ、下カーペットだしそんな衝撃もなかったはずだし」 「………だな。」 スマホの電源を切るなんて どんな心境なわけ? 俺は電池切れにでもならない限り スマホの電源落とすなんてことはしたことない。 嫌でも期待が高まる気持ち。 それを確かめるように 遠回しに攻めていく。 「今日さ、二時まで一緒にいてよ」 「え?」 ビールを持って戻ってきた萌衣にそう言うと 分かりやすく目を泳がせた。 「二時までいたら終電逃すじゃん…」 「だな。」 「明日も休みじゃないし…」 「それは俺も同じ」 ソファに座る俺と、そのすぐ下に座ってる萌衣。 目を合わすと、すぐ逸らしてぷしゅっといい音を立ててビールを開けた。 「……とりあえず、飲も。」 そしてまた、俺を見上げて視線を合わす。
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