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迎えたデート当日の朝。
彼に指定された待ち合わせ場所は、東武スカイツリーラインの浅草駅改札前。
どこか懐かしさを感じるレトロなデザインの時計塔は大きくて目印にしやすいのか、待ち合わせスポットとして有名らしい。
その証拠に、まだ午前10時前だというのに見渡す限り人、人、人。
こんなに人がうじゃうじゃいる中で彼と落ち合えるのかと少し不安になったが、そんな気持ちは一瞬で消えた。
なにせ彼は何処にいても目立つのだ。
スラッとした長身でモデル体型。
誰もが振り返るようなルックス。
日本にいながら日本人とは思えない不思議なオーラ。
そして、女子ウケしそうな綺麗めモノトーンコーデ。
人を待たせるのが嫌いな私は常に10分前行動を心掛けているのだけど、彼の方が先に到着していて驚いた。
小さくため息を漏らしつつ、周りから注目を浴びている春瀬くんに歩み寄る。
「あ、来た来た。おはよう育子さん」
「…オハヨウゴザイマス」
予想通り周囲からの視線がグサグサ突き刺さって、変な喋り方になってしまった。
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