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「晴れて良かったね。まさにデート日和」
「そんなことより敬語はどこ行った?」
「今日は休日だから敬語もお休み」
「なぜそうなる」
「まぁまぁ。細かいこと気にせずに行こ。予約の時間になっちゃう」
そう言うと彼は私の手を取って、しっかりと握る。そして、どこかに向かって歩き始めた。
「ちょっと、手…」
「人多いし、はぐれないように」
「はぐれても春瀬くん目立つから大丈夫だよ」
「いいから。今日はデートでしょ?」
「…っ」
握られた手にグッと力を込められ、それ以上何も言えなくなる。
…なんだこれ。
普段は穏やかな優男のくせに、たまーに物凄く強引なんだよなぁ。
今日は浅草に行くとだけ聞いている。
どこに行くとか何をするかは全部任せてほしいと春瀬くんから言われ、おまかせしたから私は何も知らない。
とりあえず浅草ならたくさん歩くだろうと予想して動きやすいニットワンピにフラットシューティーというラフスタイルを選んだ。
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