シンデレラノーフィット

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店内にはムードを高めるような洋楽が流れている。その効果なのかカップル達は良い雰囲気だ。 お酒が出てくるのを待つ間、その歌にじっくりと耳を傾けてみる。 “誰かをたまらなく好きになってしまった。 運命的な出会いだった。 その人を喜ばせたくて、 その人のことをもっと深く知りたくて、 笑わせてあげたい、守ってあげたい。 キミはボクの全てだ。” 愛し合っている恋人達がうっとりするのも納得のストレートな心情を綴った歌詞。 あんなに饒舌だった彼も、お酒を頼んでからは一切喋ることなく音楽に聞き入っていた。 「…ダイキリのカクテル言葉って何?」 特別知りたかったわけではない。 ただ周りと同じムードに浸るのが嫌で適当な話題を振った。 「希望、だね」 「うそ、知ってると思わなかった」  「お酒に限らず自分が好きなものはとことん極めたいし、何でも知りたいと思ってる」 ーーもっと知りたい。深く、深いところまで。
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