5029人が本棚に入れています
本棚に追加
/328ページ
店内にはムードを高めるような洋楽が流れている。その効果なのかカップル達は良い雰囲気だ。
お酒が出てくるのを待つ間、その歌にじっくりと耳を傾けてみる。
“誰かをたまらなく好きになってしまった。
運命的な出会いだった。
その人を喜ばせたくて、
その人のことをもっと深く知りたくて、
笑わせてあげたい、守ってあげたい。
キミはボクの全てだ。”
愛し合っている恋人達がうっとりするのも納得のストレートな心情を綴った歌詞。
あんなに饒舌だった彼も、お酒を頼んでからは一切喋ることなく音楽に聞き入っていた。
「…ダイキリのカクテル言葉って何?」
特別知りたかったわけではない。
ただ周りと同じムードに浸るのが嫌で適当な話題を振った。
「希望、だね」
「うそ、知ってると思わなかった」
「お酒に限らず自分が好きなものはとことん極めたいし、何でも知りたいと思ってる」
ーーもっと知りたい。深く、深いところまで。
最初のコメントを投稿しよう!