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「じゃあ…モヒートは?」
「心の渇きを癒して」
「そう、なんだ…」
「育子さん…俺を癒してくれる?」
「な、に言って…」
ーー運命的な出会いだった。
ーー誰かをたまらなく、たまらなく…、
「ルイ、イクコ、お待たせ!」
意識ごとどこかに引きずり込まれてしまいそうだったけれど、マークの声で一気に引き戻された。
目の前に置かれたのは綺麗な琥珀色のカクテル。初めて見るお酒だったから名前を聞こうと思ったのに、マークはいそいそとその場を離れ、次に待っているお客さんのカクテルを作り始めてしまった。
「何が入ってるお酒?」
「ブランデーとホワイトラム、ホワイトキュラソー、レモンジュースだよ」
「へぇ、美味しそう」
「口当たりはいいけど結構度数が強いから酔っちゃうかもね」
「私あんまり酔わないタイプだから」
「それなら良かった」
二人同時に持ち上げたショットグラスで軽く乾杯をする。揺れる琥珀色が扇情的に感じた。
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