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彼は私の胸元に顔をうずめた。
柔らかい髪の毛が目の前で揺れる。
「私、あんまりセックス好きじゃない」
天井を眺めながらポツリと告げると、彼は驚いたように顔を上げて目を丸くした。
当然だ。この雰囲気の中でいきなりそんなこと言われたら誰だってビックリする。
私自身そんなに男性経験が多いわけではないけれど、修一を含め付き合った人達はみんな淡白だったように思う。
行為自体も形式的で時間をかけることもなく淡々と進むだけ。だから特別気持ちがいいと思ったことがなかった。
「嫌とかじゃなくて。ただ、わざとらしい演技はしたくないから嫌な気分にさせるかも」
場をしらけさせる発言にも関わらず、再び笑われた。どこに笑える要素があったのか。
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