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「育子さんって素直な人だね」
「そう?思ったこと口にしてるだけなんだけど」
「今それを言えちゃうのがすごい」
クスクス笑いながら私が羽織っているシアーシャツに手を掛けた。簡単に剥がされ、アイボリーのタンクトップ一枚になる。
「大丈夫。演技なんて必要ないよ」
耳元で囁いたのは、始まりの合図。
そのまま首筋を指先でツー…と撫でながら耳朶を軽く噛まれるとゾクゾクと体が震えてしまう。
鎖骨に舌を這わせ、顕になった胸元をまた指先で撫でる。
タンクトップの上から胸の膨らみを、ボトムスの上から内腿を。強い刺激と弱い刺激を繰り返し、焦らされるようにゆっくり触られると、もどかしい気持ちでいっぱいになった。
こんなの知らない。
私が知ってるセックスは、さっさと脱いで脱がされて。そして必要最小限のことだけして男が果てる。
みんなそうだったのに。
「今どんな気持ち…?」
「…すっごくじれったい」
素直な人だなんて言ったのは、こうなることを見越した上で張った伏線だったのかもしれない。
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