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「ああ、そうだ、大木さん」
「はい?」
出口に向かって一直線だった私は、その呼び掛けに首だけで振り返った。
「実は来週、ニューヨーク支社から一人こちらに配属されることになったんだ」
「ニューヨークから、ですか?」
「ああ。それで当面はプレスアシスタントをしてもらおうと思うんだけど…大木さん、教育係頼める?」
教育係か…
正直面倒くさいけれど上司の頼みならば仕方がない。
「まぁ…私でよければ」
「助かるよ。じゃあよろしく」
「はい。お疲れ様でした」
ホッと胸を撫で下ろした部長に再び一礼して、今度こそ部署を後にした。
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