シンデレラノーフィット

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「新しく配属されるアシスタントが、どうしても打ち合わせに参加したいって言うもんだから」 「明日からじゃないんですか?」 「その予定だったんだけどね」 部長は困ったように眉を下げて笑う。 穏やかゆえに、押されるとNOと言えない性格なのだ。 「それで、肝心の彼は?」 「ハハ…なんだか自由な人でね。メンズコーナーにでもいるんじゃないかな」 「分かりました。ここは私に任せて部長は仕事にお戻りください」 「じゃあ頼むよ」 ただでさえハードスケジュールなのに、新入りが自由奔放だなんて。ちょっと…頭痛が。 額を押さえながら、メンズ服を展示しているコーナーへと向かう。 カツ、カツ、とヒールの音が響く。 靴擦れしたところがまだ痛むから今日は踵のないヒールで出勤した。 やっぱり私はヒールが好きだ。 この音を聞くと不思議と気合いが入る。
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