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「いやいやいや。そんなことより!」
「ん?」
「ニューヨーク支社から配属されるアシスタントって…春瀬くんのことだったの?」
「うん、そう。今日からよろしくね」
「よろしく、って…」
軽いな、オイ。
こんなとき、大抵の人はもっと驚いたようなリアクションするはずなのに、当の本人はニコニコ笑ってるし。
「俺の教育係が育子さんだなんてビックリ」
「全然そんな風に見えないけど」
「そんな怖い顔しないでよ。ね?」
腕組みしている私を宥めるみたいに下から顔を覗き込まれた。
さすが海外育ちというべきか。
距離感がおかしい。
「と、とにかく。私はあなたの教育係で先輩なんだからきちんと敬語を使いなさい」
「ケーゴ…」
「もしかして知らない?」
「知ってるよ。使ったことはないけどね」
そりゃそうだ。
日本でほとんど生活したことがないのなら、敬語を使う場面なんてない。
むしろ、これだけ日本語が話せるだけでもすごいことだと思う。
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