シンデレラノーフィット

61/64

5029人が本棚に入れています
本棚に追加
/328ページ
「いやいやいや。そんなことより!」 「ん?」 「ニューヨーク支社から配属されるアシスタントって…春瀬くんのことだったの?」 「うん、そう。今日からよろしくね」 「よろしく、って…」 軽いな、オイ。 こんなとき、大抵の人はもっと驚いたようなリアクションするはずなのに、当の本人はニコニコ笑ってるし。 「俺の教育係が育子さんだなんてビックリ」 「全然そんな風に見えないけど」 「そんな怖い顔しないでよ。ね?」 腕組みしている私を宥めるみたいに下から顔を覗き込まれた。 さすが海外育ちというべきか。 距離感がおかしい。 「と、とにかく。私はあなたの教育係で先輩なんだからきちんと敬語を使いなさい」 「ケーゴ…」 「もしかして知らない?」 「知ってるよ。使ったことはないけどね」 そりゃそうだ。 日本でほとんど生活したことがないのなら、敬語を使う場面なんてない。 むしろ、これだけ日本語が話せるだけでもすごいことだと思う。
/328ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5029人が本棚に入れています
本棚に追加