シンデレラノーフィット

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ふぅ、と小さく息を吐き、会社から出ると首からぶら下げていた社員証を外して鞄にしまう。 海外進出もしている大手アパレル企業「ビープラウド」の本社に勤務する広報マーケティング部の“大きいさん”から、ただの人間“大木(おおき)育子(いくこ)”に戻る瞬間である。 名は体を表すとはよく言ったものだ。 名前の通り大きく育った…いや、育ちすぎた私の身長は174センチ。 靴のサイズなんて27センチで男並み。 言わずもがな大女の私は、誰が考えたのか社内でこっそり“大きいさん”だなんてピッタリすぎるあだ名で呼ばれている。 私が大きいのは生まれつき。そして愛想と愛嬌がないのだって生まれつき。 他人にヘラヘラしたり媚び売ったりするのは苦手だ。 それでも好きな仕事をしているし、恋人だっている。 私の人生、何も悲観することはなく順風満帆だった。
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