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「春瀬くん、困ってるから助けてあげてよ」
「そんな風には全く見えませんが」
「勤務初日だし露骨に嫌な顔はできないだろうね」
「でしたら部長が助けて差し上げたらいかがですか」
部長がモゴモゴなにか言っている間に全てのメールに目を通し、必要な分だけ返信を済ませた。次は本日のタスクを確認して新聞、雑誌のチェックにうつる。
「その作業だって二人で分担した方が早いんじゃないかな」
「ごもっともです」
記事を切り抜きするクリッピングや資料をスキャンをしてデータ化すること自体は難しいものではないが、紙媒体とweb媒体を合わせるとかなりの時間を要する作業であるのは間違いない。
「今日から大木さんと春瀬くんは一心同体。困っているときはお互い様の関係になるはずだよ」
忙しなく動き続けている手がピタッと止まる。かわりに口から大きなため息が漏れた。
「…分かりました」
気合を入れるつもりで、胸辺りまで伸びた髪の毛を後ろに束ねてから席を立つ。
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