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「ちょっと失礼しますよ、っと」
小柄な女性ばかりだから間を割って入るのは簡単だった。彼の元へ辿り着いた私は、すぐさま腕を掴んで人だかりの中から引っ張り出すことに成功した。
「会社は仕事をするべきところです。話したいことがあるなら休憩時間か終業後にどうぞ」
キッパリ言い放つと嫌な顔をされたが、悪口と陰口が大好きなミーハー軍団にどう思われようが知ったことではない。小さく聞こえた舌打ちも何のその、クルッと向きを変えて業務に戻る。
「はい座って。今日からここがあなたの席ね」
私の隣に用意された春瀬くんのデスクまで案内すると、席に誘導するように椅子を引く。
「何してるの。早く座って」
「え?あ…はい」
彼は少し戸惑ったような表情をしながら遠慮気味に腰を掛けた。私がすかさず机をバンッと叩くと彼の体はビクッと揺れる。
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