二人の相性

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ジョージ、ジョージ… だめだ。分からない。 外国人の社員はたくさんいるけれど、他部署の人は一人一人名前を覚えているわけではない。 それに彼はとんでもないコミュ力おばけだ。 頭も良いから私が知らない社員の名前も覚えているに違いない。 「ジョージってあれでしょ?ほら、田中譲二」  「田中…あっ!」 美紅の口から出た名前にハッとした。 うっかりしてた。 田中譲二。 それは…広報マーケ部の部長の名前。 普段、社員達は部長と呼ぶからフルネームを失念していた。 「あのねぇ…部長のことジョージさんなんて呼んだら失礼でしょ」 「そうなんですか?」 「そうなんですっ」 「親しみを込めてファーストネームで呼んでたのになぁ…」 ブツブツ言いながらも彼は食事を進めていく。 少し前まで海外にいたとは思えないほど綺麗な箸使いと上品な食べ方に思わず目を奪われてしまった。
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