5029人が本棚に入れています
本棚に追加
/328ページ
「育子先輩のせいです。どうしてくれるんですか」
「そんなこと言われても」
仕事中にムラムラするなんてけしからん!
そう言いたいのが本音ではあるけれど。
彼から見た私は仕事の先輩であると同時に、一度自分に体を許した女でもある。
そもそも、あの夜だけと約束をしたのは二度と会わないというのが大前提だったわけで。
偶然再会してしまった挙句、仕事とはいえそんな女と二人でいる機会が多ければそういう気分になってしまっても責めることはできない。
「分かった。あの日のことはお互い忘れよ」
「それは無理です」
即答…。
そんなにあっさり言われるとこっちも困る。
「なにが無理なのよ?」
「逆に忘れられますか?あんなに何もかもがフィットしたのに」
「ちょっ…会社でする話じゃないでしょ」
残業しているのは私達二人だけで他に誰かいるわけではないのに、反射的に小声になりキョロキョロ周りを確認してしまう。
最初のコメントを投稿しよう!