夕日の裏

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 一行は知り合いの宿屋に頼んで寝床を用意してもらった。数年使用していない部屋を掃除して寝られるように布団を敷いた。二人用の部屋だったため、体格の良い男達が集まると狭かったが、それでも構わなかった。  セイゴはこうやって集結できたことに祝杯を上げたい気持ちだったが、まずはノルンに祈りを捧げた。二人もそれに倣って両手を合わせた。 「で、そっちはどうだった?」  セイゴは横臥していたブルーに問いかけた。 「いや、ひどかった。まず惑星『ニノ』の情報だが、後数百年は戦争を起こせるような記述がデータベースにあった。数々の研究もくまなく確認した。ベルー石があれば間違いない」  ブルーは断言した。 「そっちも追われただろうけど、こっちにも追手が来ていて、タイミングが悪ければ俺も死んでた。とりあえずコピーは取ったから。もしもの時でも大丈夫なように」 「追手って奴らか?」とホワイト。 「そう。IMの枝分かれした組織だよ。まだ存在してたとは。奴らの機体は使えなくしたからここまでくることはないと思うが……」 ブルーは言葉を切った。 「そっちのB65はどうだ?」  ブルーの機体はB65と名付けられ、ホワイトの機体の姉妹機である。セイゴが命名した。由来は、ブルーの初恋の人が住んでいた地区から。 「駄目。燃料尽きたし、損傷が激しい」  ブルーは仰向けになった。 「早く起きて整備屋を探さないと」とセイゴは呟いた。  しばらくすると、二人はぐっすり寝入った。セイゴは寝息に耳を澄ましながら、静かに瞼を閉じた。  ノルンは普段から頭の切れる若者だった。セイゴはこんな青年がなぜあのような表情をしていたのかと共に苦難を乗り越える度に感じていた。 「…………すまない」  死に顔もきれいだったとセイゴは涙を流した。
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