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「そして聞きたい。私が君に何かしたか?それほど話してもいないのに嫌われているとは何故だ?」
まるでこの世の終わりとでも言うような青ざめた顔をした黒須課長は飼い主に捨てられて行くあてのない子犬のようにも見えてくる。
「課長が女子につれなくされてんの、初めてみた…」
と珍しいものでも見たかのように言う瞠。
そう言われても…困るよ。
瞠も黒須課長も私がなぜ転職したのか、
本当の理由は知らない。
瞠には職場の人間関係のいざこざで余計な心配をかけたくなかったし、会社にだって、元上司に関係を強要されそうになって困り果てて辞めましたなんて本当の理由を言える訳がない。
「う…べ、別に嫌いとか言ってませんし…あー、ほら!時間!食べる時間なくなるとお昼抜きになっちゃいますよっ。行きましょう、ね、三人で!」
三人を誇張しつつ強引戦術で言ってみたら、黒須課長の表情がパアッと明るくなり、にこっと微笑むと瞠の肩に手を置いた。
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