第一章 新しい上司

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「君は確か、第二営業部の期待のエース、日向君だよね。父も兄の話にも出ているよ」 「マジっすか!エース…。そうすね、一応エース、やってます」 なんてキラーンとした笑みを見せ、急にカッコつけだす瞠が可笑しくなる。 「一度君とじっくり話してみたいと思っていたんだ。さぁ、行こう」 「どこへなりともお供しますぜ、課長!」 黒須課長と瞠はお互いに満足気に微笑むと、二人でさっさと行ってしまった。なんだかノリが可笑しくないかな…。でもとりあえずふたりきりは逃れたから良かった! 「待って下さい〜!」 先に行ってしまった二人を追いかけて会社のエントランスを抜けてお昼に向かう。 その姿を誰かを探しているようにやって来た鷺宮さんが見つけ、怖い顔で睨んでいる事には全く気が付かなかった。手にしたランチボックスには二人分のお弁当箱が覗いている。 鷺宮さんは一人、ぎりぎりと歯を噛みしめると、職場である秘書課に帰っていき、秘書仲間の集うランチ席にどかっと座ると二つのお弁当を開けた。中には白飯の上に海苔で片方にLO、もう片方はVEと書かれた文字が現れた。 「二人で一緒に食べないと意味ないのにっ…!  あの子…絶対、許さない」 鷺宮さんはそれを猛スピードで食べ始め、秘書仲間達が何事かと驚いたように見ていた。
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