第一章 新しい上司

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長い手足に程よく日焼けした健康的な肌、スポーツマンタイプの彼は私の大学時代のゼミ仲間で、写真サークルの仲間でもある日向瞠(ひゅうがみはる)だ。 「うそ、瞠、どうしてここに?」 「第一に来る新人って美崎のことだったんだな。  俺、隣の第二営業部だからよろしくな」 やけに嬉しそうな瞠に緊張しきっていた心が少し緩んだ。瞠とは同じサークル仲間の親友・千夏(ちなつ)と三人でたまに飲む仲だ。けれどまさか、転職先で会うとは。世間は思うより狭い。 「うん、よろしくね。…あ、瞠、聞いてもいい?」 「何?」 「第一営業部ってどこかな?」 「ああ、この階じゃないぞ」 「へ?」 「先週、雲の上に部署ごと移動してった」 と、天井を指差す瞠。 「はい?」 「急だったから総務まだ入口のプレート変えてないんだな。案内するよ」 「えっ、でも…仕事中に悪いよ」 「ちょっとなら平気」 にやりと笑うと瞠は私を誘って、営業部のオフィスを出ると、エレベーターに乗り込んだ。
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