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聖那は、ドカッと後部座席に座り、ドアをバタン!と閉める。
真は、慌てて運転席に乗り込んで、エンジンをかけた。
「なあ、真」
「はい」
真は、聖那のマンションに向かって、運転しながら答える。
「俺、あのオッサンにどこが負けてる?」
「あ、陽平さん、ですか?」
「うん」
まだ諦めきれないのか葵の恋人と自分を比べている。
「さあ。どこも負けているとは思いませんが。
聖那さんのほうが、イケメンで格好いいですし、お金持ちだと思いますし」
「だよなー」
少し機嫌が良くなった。
「葵は、ちょっと変わってんだろうな」
「そうかもしれないですね」
「真は、抱かれるならどっちがいい?」
「ええっ?!」
急に聞かれて真は、赤信号をすっ飛ばしそうになる。
慌ててブレーキをふんだ。
「うわっ!運転くらいちゃんとやれよ!」
急ブレーキに聖那は、前の座席に掴まった。
「だ、だって変なこと聞くから…」
真は、真っ赤になって言った。
「別に変なことじゃねえだろ!」
「せ、聖那さん…です」
「は?!」
「だから!聖那さんに抱かれたいです!何度も言わせないで下さい…」
真は、耳まで熱くなり、聖那は、それを見て面白そうに真の耳に息を吹きかける。
「わあ!やめて!運転中にそういうことしないで!」
真が慌てると聖那は、ゲラゲラと笑った。
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