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ピンポーン、ピンポーン。
──朝
聖那の部屋のインターフォンを鳴らす。
『入ってきて』
不機嫌そうな声が聞こえて真は、合鍵を使い、ドアを開ける。
聖那は、シャワーから出たところらしく、ほぼ裸にバスタオルを羽織っていた。
「おはようございます」
ぺこりと挨拶をする。
すると聖那が「これ。やるよ」とブランド物の紙袋を渡してきた。
「え?」
「お前、誕生日だろ、今日」
真は、驚きと嬉しさで泣きそうになる。
「お、覚えててくれたんですか…?」
感激していると、聖那は、ニヤニヤ笑っている。
「開けてみろよ」
「あ!はい!ありがとうございます!」
いそいそと紙袋の中をみると、どうやらかなりキワドイ下着のようだった。
「え…これ…」
「履いてみろよ」
「え?今、ですか…?」
「ああ。今」
聖那は、ほぼ命令のように言う。
「いやあ、えっと、家に帰ってからじゃあダメですか…?」
「無理!今履けよ!せっかくやったのに。お前はさ、そういうの履かないから色気が出ないんだよ。どうせチェック柄のトランクスとか履いてんだろ?」
図星を言われて、仕方なく洗面所に向かう。
パッケージを明けると、黒のTバックの下着だった。真にしたら、こんなの履いてないのと同じじゃん!というような形。
すると聖那がいきなりドアを開けた。
「いーだろ?それ。俺とお揃いだぜ?」
と言って自分のを見せてくる。
確かに聖那の引き締まった尻には、とてもよく似合っていて格好いい。
けれど、完全に普通体形の真には、これを履きこなす自信は無かった。
「あの…聖那さんは格好いいですけど…俺には、とても」
「いいから、履いてみろって。気分変わるから」
「はあ」
仕方なく真は、スーツのズボンを脱ぐ為にベルトを外す。
「あの、出てってもらえます?」
いつまでも聖那が観ているので
必死に追い出した。
チェックのトランクスを脱いで、Tバックに履き替え、前を整えた。
…なんか…変な気分…
確かに気持ちが変わる。
すると、またドアが開けられた。
「いいじゃん、真でもちょっとは艶っぽく見える」
と聖那は、ニヤニヤしながら、真のシャツをペロッと捲る。
「あ、あんまり見ないでください!」
真は、聖那の手を払い、洗面所から追い出した。
慌ててスーツのズボンを履く。
なんだかスースーする…
少し違和感があったけれど、時間もないので、トランクスを畳んで持ち、そのまま洗面所から出た。
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