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「行くぞ」
いつの間にか聖那は、準備を済ませて玄関に立っている。
「あ、はい!」
一見、ルーズそうに見えるのだが、聖那は、案外真面目で、仕事に遅刻はほとんどしない。
いつも準備も素早く、待たされることは無かった。
「気分、変わるだろ?」
聖那は、ニヤリと笑う。
「そ、そうですね、なんかスースーするというか。けど、なんか締め付け感がなくて、健康には良さそうですね」
真が言うと、聖那はちょっと呆れている。
「ほんとに色気のない奴だなー。まあ、真だから仕方ないか…」
「はい、すいません…」
真は、申し訳なくて下を向いた。
「仕事、終わったらメシ行くぞ」
「え?あ、はい。誰、誘いますか?」
真は、スマホを取り出しながら聞く。
「今日はいいよ。誕生日だから二人で。真には世話になってるからな」
階段を降りながら背中で言われ、真は、また感激する。
「あ、ありがとうございます!」
真は、聖那の綺麗な後姿をうっとりと眺めた。
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