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 点滴を受けて眠っている、君の真っ白な横顔を眺めながら自分を呪っていた。一生を添い遂げると決めた君が、少し痩せている事にも気づかなかった自分が許せなかった。君を倒れさせてしまった俺の落胆ぶりに、周りは貧血だからと励ましの声をかけてくれた。俺の中の問題はそこではなかったが、「ありがとうございます」と応えた。  念の為にと検査入院を勧められたが、元気になった君は満面の笑みで柔らかく拒絶した。その笑顔を守ると改めて心に誓った俺は、今更ながら君とたくさんの言葉を交わすようになった。  他愛のない話から、どんな家で、どんな風に生活をして、どんな家庭を夢見ているのか。自分の考えと君の考えをすりあわせて、それを目標に二人で同じ方向(みらい)を見据えて歩み始めた。  目指す所が一緒なら、互いの言動に喧嘩をするほどの大きな差も生じなかった。多少のズレは、ちょっと話し合えば軌道修正も容易だった。  少しずつ快適な二人の生活が出来上がっていくのが楽しくて。君と笑い合える毎日が幸せで。人生80年、それでも残り3分の2を君と生きてゆける。家族を築いてゆける。  恋人なら向き合って、夢や希望を語ればいい。夫婦なら同じ方向を向いて、夢や希望へ歩めばいい。そんな風に、いつか子供に恋人が出来たら語って聞かせるんだと君に言ったら、「先すぎるよー」なんて大笑いをしてから俺の目を見て真面目な顔をみせた。  俺を真っすぐに見つめて、君が言った「私を人生最後の相手に選んでくれて、ありがとう」の言葉が、夢の中のようで現実には嬉しすぎて。思わず「こちらこそ一生傍に居てください」と言って抱きしめていた。  
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