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出逢い
たちまち彼女は僕に顔を向けた。僕は焦って、相内先生に向き合う。
「教師をしていた人間として失格だけど、私も間宮君のことが好きになっていました。高い障壁を一緒に乗り越えてもらえるなら、私と付き合ってほしいです」
僕は固く掴んだ膝を思わず解放した。再び居場所がなくなった両手で僕の顔を覆った。体の内側から、熱い感情が込み上げてくるようだった。顔から手を離し、テーブルに置く。
僕はなぜか恥ずかしくて相内先生の顔を直視できない。彼女の耳に視線を逃がした。相内先生の耳が赤くなっている。僕の視線に気づいた彼女は髪で耳を隠した。
僕は肯きが小さくなってしまった。相内先生は気づいてくれただろうか。花が咲いたような笑顔がこぼれたので大丈夫だろう。
穏やかな日差しが二人を包んだ。これから二人で越えなければいけない障壁がある。でもその前に、デザートでも食べて落ち着こう。
かなりアイスが溶けてしまったけれど。
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