背徳のオメガ 3

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「これからは苦しいのも悲しいのもない。そう約束しただろ?」 瑛翔の言葉に優しく応えると、アダムは僕の目元を拭った。僕の目からはいつの間にか涙が流れている。 アダムは僕の15年以上の苦しみを、3ヶ月にも満たない間に消し去ってくれた。それどころか、こんな幸せをもたらしてくれるなんて・・・。 「僕も、アダムを幸せにするね」 自然にこぼれた言葉に、瑛翔も声を上げた。 「えいとも!」 にこにこ笑顔の瑛翔は、今度はアダムに抱きつく。するとアダムは瑛翔を受け止めながら僕のことも抱きしめ、僕達はしばらく三人で抱き合っていた。 その後瑛翔がしっかり残りのプリンを食べて眠ってしまうと、アダムは瑛翔をベッドに運んでくれた。僕のいない間に、すっかり瑛翔の部屋が出来上がっていたのだ。 瑛翔を運ぶアダムを待っている間、僕はお茶を淹れるために電気ケトルのスイッチを入れた。 今日の兄との話をアダムにしたかったから。 ちゃんと話してから、もう一度僕とのことを考えてもらおうと思ったのに・・・。 僕は左手の薬指を見た。 まあ僕も、フライングして番になって、なんて言っちゃったけど・・・。 これペアリングだから、マリッジリング?アダムがはめてくれたけど、もしかしてアダムの分は僕がはめてあげなきゃいけなかったんじゃない? 今更ながら自分の気の利かなさにショックを受けていると、その指輪がはまった手が後ろから伸びてきて腰に回った。そして、甘い香りに包まれたかと思うと、アダムは僕のうなじに顔を埋める。 アダムは僕のうなじに鼻を擦り寄せて匂いを嗅ぐと、そのまま唇をあててくる。その感触にそこがかっと熱くなり、その熱が全身を駆け巡る。 「ア・・・アダム、先にお話を・・・」 そういう間もアダムはうなじに何度も小さなキスを落とす。それに手が、さっきから服の上から僕の身体を官能的に這っていく。 話をしたいと思っても、その手と唇に身体が震えて立っていられない。辛うじてアダムが腰を支えてくれる。 「僕は早くベッドに行きたい」 うなじから耳元に移った唇が耳朶を食みながらそう囁やくと僕の腰が砕け、それをアダムの力強い腕が支える。 「今日の話を・・・ぁ・・・んっ」 身体を這っていた方の手が服の上から胸の敏感な部分をぎゅっと摘んだ。その鋭い刺激に僕の声が変に跳ねる。 「ベッドに行こう」 吐息が耳にあたり、僕の身体は完全に力が抜けてアダムに抱え上げられた。 「で・・・でも・・・」 初めてのお姫様だっこが少し怖くて、僕はアダムにしがみつく。 「話を聞いても僕の気持ちは変わらない。それより、今は君を感じる方が大事だ」 そう言いながら軽々と僕をベッドルームに運ぶと、アダムはそっと僕をベッドに下ろした。そしてそのまま僕の上へ・・・。 あれ? こういう時は先にシャワーとか・・・。 こういう経験が全くない僕はどうしたらいいのか何も分からない。 でも多分シャワーとかするんだよね? 乏しい知識を総動員させて考えるけど、アダムはそのまま僕の首筋に唇を寄せて、手を服の中に潜り込ませてくる。
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