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「何をひとりで、ぶつぶつ言っているんだ?」
いつの間にか殿下が、夜着姿にガウンを羽織って部屋に入って来ていた。
今日からは寝室が一緒で、扉で繋がる両隣りの部屋がお互いの私室になる。
「あ、いえ、その…」
「こちらにおいで。」
ベッドに誘われ、殿下の横にぽすんと座る。
「やっとセリーナに触れられる。」
私の髪を梳くように撫でる優しい手に心が温かくなる。
「殿下…」
「いいかげん、殿下ではなく名前で呼んでくれないか。」
「…フレデリックさま。」
「セリーナ、大切にするから。」
触れるだけの口付けをされ、離れると見つめ合う。
どちらからともなく近付き、次のキスは後頭部に手を添えられ離してくれない深いものになった。
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