2

1/7
前へ
/110ページ
次へ

2

王都の中でも公爵邸は大きいらしく最初、王宮かと思ってしまうほど広く、建物も大きかった。 「これが公爵邸ですか。迷子になりそう…」 「自分の担当場所以外は、ほとんど知らないですよ。全て把握しているのは、統括の執事長とメイド長と旦那様くらいです。」 オリバーさんの言葉にちょっとホッとする。 「ただ大まかな位置と自分の担当場所は知っていないと本当に迷子になりますからね。」 「ですよね。がんばります。」 到着してすぐに公爵の執務室に連れて行かれる。 部屋には公爵と奥様が待っていた。 「はじめまして。モルトン伯爵が娘、セリーナでございます。」 今日は、まだ使用人ではないので、令嬢として挨拶する。 「セリーナ、来てもらって早々だが、話があるので座ってくれ。」 「はい。」 奥様は、目の前に座った私を見て何か言いたげに視線を動かしている。 「あ、あなた。本当に…」 「そうだな。私から話そう。」 2人の間で何か話がまとまったようで公爵がこちらに向き直る。 「セリーナ、これから話す内容は、他言無用だ。いいな。」 貴族にはいろんな事情があるのは、私だってわかっているので頷いた。 「私たちにはセリーナと同じ17歳になるアイリスという娘がいる。先日、王太子の花嫁候補5人の1人に選ばれた。」 私の住むカートランド王国の王太子様は現在22歳。 まだ実物は見たことがない…お会いしたことはないがかなりステキな方らしい。 その王太子様のお相手として、5人の令嬢が選ばれて3ヶ月王宮で過ごした後、一番相応しい令嬢を婚約者に選定するそうだ。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

885人が本棚に入れています
本棚に追加