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「葵、この締めのうどん。凄い旨い!」
って言われて、つい
「え!そんなに美味しいの?」
そう言って鍋のうどんを食べてみたら…ほっこりする美味しい味。
思わず癒やされて
「旨い~。これなら、家でも作れそう」
と思わず呟く。
「彗と舞衣も、うどんなら食べられるしな」
兄さんも美味しそうにうどんを食べている姿を見て、まぁ…良いかって思ってしまう。
こうやって、いつも兄さんに誤魔化されちゃうんだよな~。
そう考えながら、旅行最後の夕食を堪能した。
お腹が満たされた所で、ホテルへと移動。
稚内のホテルはめちゃくちゃ綺麗なホテルで、入ったら吹き抜けのロビーにシャンデリアが凄く豪華。レッドカーペットが引かれた廊下を歩き、王宮のような豪華な階段の見えるロビーでチェックインすると、何故か母さんがスイートルームを取っていた。
「なんでスイートルーム?」
首を傾げていると、兄さんが確認の為に母さんに連絡を入れていた。
すると兄さんが
「え!いや、それは……。でも…」
って、又、真っ赤な顔して母さんとなにやら話をしている。
俺は兄さんに近付き手を出す。
すると兄さんは
「あ、あの、葵に代わります」
そう言って、兄さんが俺の手にスマホを置いた。
「もしもし」
俺が怒った声で電話に出ると
『あ!あおちゃん?旅はどう?』
の第一声。
出鼻をくじかれて
「え?うん、凄い良かった。母さん、ありがとう」
と思わず返した後
「そうじゃなくて!何?スイートルームって!」
そう叫んだ俺に
『だって……あおちゃんの初夜なんだから、素敵に過ごして欲しいじゃない?』
って言われて、思わず
「しょ!!!!」
と叫び、思わず辺りを見回してから
「何言ってるんだよ!」
って小声で母さんに反論した。
すると
『え?もうしちゃった?』
と普通に言ってくるから
「してないけど…」
って思わず素直に返事しちゃったよ。
すると母さんが
『あおちゃん、お兄ちゃんが奥手なのは分ってる。だから任せて!今回は、母さんがお膳立てしたから!』
そう言って、『褒めて褒めて~』って言ってる。
(普通さ、親って子供のそういうのって嫌なんじゃないの?)
と心の中で思っていると
『お兄ちゃんには、必要な物は田中さんに買って貰って渡しといたから』
って言って
『じゃあ、素敵な夜を過ごしてね~』
の一言を残して電話を切りやがった……。
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