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母さんのサプライズ
「「北海道旅行!」」
俺が高校3年になった春。
夕食を食べ終わり、後片付けをしていた俺達に母さんが
「お兄ちゃんとあおちゃん、片付けが終わったらちょっと時間もらえる?」
と声を掛けて来た。
俺と兄さんは顔を見合わせると、食器を片付けてリビングで待っている母さんの前に座る。
すると突然、母さんが俺と兄さんに一枚のチケットを見せて
「これ、この間お父さんと私の車を買いに行ったらフェアーしてたの!くじ引きしたらね、お母さん、特賞の北海道旅行を当てちゃったの!」
満面の笑みを浮かべてそう言った。
で、冒頭の言葉を兄さんと叫んだって訳。
母さんが俺の片思いの相手、秋月翔先輩のお父さんと再婚して二年が経過しました。
俺もやっと神崎から秋月と名乗る事に違和感が無くなり、今年、高校三年生になりました。
お陰様で、高校3年生になって学校から、今の成績ならそのまま附属大学へ進学出来ると言われてホッとしていた矢先、母さんが再びミラクルを起こしたらしい。
「それでね、少しお金を足してお部屋のランクを上げといたから、二人でいってらっしゃいよ」
って言い出した。
母さんの差し出したチケットを見たら、「花々と大自然に出会える利尻島、礼文島2泊3日の旅」と書いてある。
北海道は北海道でも、最北端の島ですか!!!
唖然としている俺達をよそに
「お兄ちゃんと二人でいってらっしゃい」
と笑顔で言う母さんに
「母さん…6月って連休無いよね?」
と俺が目を据わらせて言うと、母さんは笑顔で
「学校?そんなの休んじゃいなさいよ!利尻島と礼文島なんて、早々行けないわよ!」
って、親とは思えない発言をして来た。
「あおちゃん、学校では学べない事があるの!母さんが良いって言ってるんだから、行って来なさい!」
そう言うと、兄さんの腕を掴んで端に連れて行く。
何やらコソコソと話しながら紙袋を手渡され
「母さん!これ!」
って兄さんが叫ぶと、母さんが兄さんの口を押さえて
「しー!お兄ちゃん、声が大きい!」
と叫んでなにやらコソコソしばらく話した後、何やら紙袋を手渡された兄さんの顔が真っ赤になっているのに疑問の視線を向ける。
「ね!行ってらっしゃい」
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