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「雪ちゃん、いつの間にか身長だいぶ大きくなったよね」
「あ~確かに。前は咲良と同じくらいだったもんね」
「羨ましいなぁ」
「高校生になったら咲良ももうちょっと伸びるよ、きっと」
「そうだと良いなぁ」
雪ちゃんみたいになりたいとまでは言わないけど、せめてこの年頃の女の子の平均身長くらいまでは大きくなりたい。今の私、たぶんそれより下だから。
「あぁ~今日楽しかったなぁ~」
雪ちゃんが手を組んで上に伸びる。
「入試は合格発表だけだし、学校は卒業するだけだし、ちょっとずついろんなことが終わってくね」
「そうだね。雪ちゃんと初めて話したのだって、もう三年前だし」
「もうそんなに経ったんだぁ」
年を一つ越す毎に学年も一個上がっているはずなのに、全然そんな感じがしない。今がまだ中学一年生の三学期で、これから二年生に進級するんじゃないかって錯覚するくらいにはあっという間な三年間だった。
「いろんなことあったね。……あ、そういえばさ」
私は一つ思い出した。いつか聞こうと思っていたこと。
「雪ちゃんは、なんで私のこと好きになってくれたの?」
ずっと聞こうと思っていたけど、入試に追いやられていてなかなか聞けなかった。
「なんで、かあ……考えたこと無かったなぁ」
雪ちゃんはしばらく考えるような素振りをした後、唐突に私に顔を向ける。
「でも強いて言うなら、ずっと咲良と一緒に居たかったから、かな?」
ずっと、一緒に。
「一年生の四月に咲良と初めてまともに話して、それから咲良といろんなことして、いろんなところに行って……気づいた時にはずっと咲良と一緒に居れたらなぁって思ってた。たぶん、それじゃないかな。私が咲良のこと好きになった一番の理由」
「……そっか。私とほとんど同じだ」
私も、雪ちゃんと同じだ。初めて話した四月のあの日から、いろんなことを雪ちゃんとしたしいろんなところにも行った。初めて一緒に夏祭りに行った時には、既に私は雪ちゃんが言うようにずっと一緒に居られたら良いなと思っていたから、きっとその頃には私は雪ちゃんのことを好きになっていたんだろう。ただ気づくのが遅かっただけで、本当はずっと前から雪ちゃんに恋をしていたのかもしれない。
雪ちゃんはちょっと照れくさそうに笑うと、「なんか疲れた。もう寝よ」とベッドに潜っていった。私も今日は疲れたから早めに寝よう。
私がベッドに入ると、雪ちゃんは両手で私の両頬を両手でサンドイッチしてきた。
「え、なに?」
「寝る前に咲良の成分補給しとこうと思って」
「何言ってんの」
「分かんない」
「もう~」
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