38人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらくされるがままな私だったけど、だんだん恥ずかしくなってきた。とうとう耐え切れなくなって、「もう無理、恥ずかしい!」と雪ちゃんの手を離す。
「恥ずかしがってるのも可愛いよ」
「も~……」
心臓がドキドキする。雪ちゃんの目も鼻も口もすぐ近くにある。鼓動の音を聞かれてないかとただ心配になる。聞かれたところで何かマズいわけでもないんだけど、私は雪ちゃんに背を向ける。それが良くなかった。
まるでそうするのを待っていたみたいに、今度は雪ちゃんが私の背中にくっついてきた。
「咲良の背中、暖かいなぁ」
「もう、雪ちゃんってば……」
「えへ」
まただ。また、私を心ごとめちゃくちゃにするようなことばかりしてくる。どこかのタイミングで理性が吹っ飛んでしまいそうだ。
「ねえ、咲良?」
「……なに?」
「大好き」
その一言が全てを決めた。
寝返りとほとんど同時に雪ちゃんの唇に触れていた。初めての、キス。
唇を離して雪ちゃんの顔がすぐそこに映る。鳩が豆鉄砲を食ったような、キョトンとした顔をしていた。
「え……」
まさかキスされるとは思っていなかったらしく、顔を真っ赤にして固まっている。
「さく、ら?」
「私だって、雪ちゃんのこと大好きだからね。参ったか」
雪ちゃんは私にどういう顔を向けて良いのか分からないようだった。「え、っと……」としばらく目を泳がせた後、小さく「ずるいよ」と言った。
「私からしたかったのに……」
「こういうのに順番なんて無いと思うよ」
「そう、だけどさぁ……いじわる」
「雪ちゃんが悪いんだからね」
「うぅ……」
どんどん俯いていく雪ちゃんにくっついて、それからもうちょっとだけ話したけど、最終的には二人とも寝落ちするという形で一日を終えた。時間なんて見ていなかったけれど、きっといつも私が寝る時間とほとんど変わらなかったんじゃないかと思う。
最初のコメントを投稿しよう!