高校生編 第3話

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   2  高校生になってから、月日が経つのが本当に早くなったと実感する。つい一週間前に新入生として講堂に集まっていたはずなのに、今じゃもう七月だ。友達だってできたし、三ヶ月前から始めた純喫茶でのアルバイトも少しずつ慣れてきた。  そんな七月の初旬。期末テストも終わってバイトのシフトも入っていない今日。雪ちゃんの高校も今日で期末テストが終わったらしいので、昼ご飯ついでにファミレスで落ち合うことになった。 「ひとまずテストお疲れ様」 「雪ちゃんもお疲れ」  それぞれ注文した料理が運ばれてきて、私たちは「いただきます」と舌鼓(したつづみ)を打つ。たった三時間だけとはいえ、頭をフル稼働させた反動は大きかったらしく、どこにでも置いてあるようなナポリタンスパゲッティがやけに美味しく感じた。 「テストどうだった?」 「まぁぼちぼち。咲良は?」 「私もぼちぼちかな。ひとまず赤点はなさそう」  テスト終了直後の高校生の会話なんて、所詮こんな感じだ。  昼ご飯を食べた後、しばらくドリンクバーでゆったりする。その時に雪ちゃんと私の家で遊ぶことが決まった。ランチタイムということで他のお客さんの数も増えてきていたから、お会計を済ませてそそくさと店を後にする。 「夏休みどうする?」「また祭り行きたいな。今度は浴衣とか着てみたりしてさ」「あぁ~良いね。咲良絶対似合いそう」「雪ちゃんだって浴衣似合いそうだよ?」「え、そうかな?」  そんな会話をしながら家に着いて、そこですぐ「ん?」と思った。  アパートの入り口、そのすぐそばに、見覚えのない車が止まっていた。赤い軽自動車。 「あの車、何だろね?」 「さぁ?」  雪ちゃんと二人で首を傾げる。どこかの家にお客さんでも来たのかな、それならこの近くの有料駐車場に止めれば良かったのに。  エントランスでエレベーターのボタンを押して降りてくるのを待つ。ちょうど着いて間もない時だったのか、五階からしばらく動かなかった。  やっとエレベーターが到着して、雪ちゃんと二人で五階に上がる。私とお父さんが暮らす番号の部屋の前で鍵を取り出して、鍵穴に差し込んで回した。戦慄した。 「え……」 「どうしたの、咲良?」 「なんで、鍵開いてるの……?」  開錠する方に回して空振りした。ということは、鍵が開いているということだ。まさか、閉め忘れ? いや、それはない。今日はお父さんが家で仕事をしているから、仮に私が鍵を閉め忘れても中から施錠できる。空き巣に入られた可能性もない。いくらお父さんが部屋にこもって仕事をしているとはいえ、物音がすればその時点で気づく。
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