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右側に三人、左側に二人。そして中央に五人。ハンドサインの後、二人で奇襲をかける。右側と左側は一瞬で片が付いた。
相手がこちらに気づく、照準を合わせる、発射する。それまでの数秒の間にいかに敵を、戦闘不可能にするか、それが問題だった。
中央に残った一人がナイフを、右手に持ちながらこちらを牽制した。二人は対峙した瞬間に気づいた、そこに『奴』がいた。
奴はこちらの攻撃範囲を正確に見抜いて距離を取る。
「私がいなければ、全員制圧まで、17、いや18秒といったところか。確かにたいした腕前だ。称賛に値する」
奴はナイフの攻撃範囲を淡々と確かめていた。何事もなかったかのように話を続けた。
奇襲攻撃に慣れているのか、全く動じなかった。
「だが、困ったことが三つある。一つ目だが、君達二人の身柄は、基地内部のレベルD高度セキュリティ区域に隔離されているはずだ。レベルDは当該基地において最も厳重な区域だ。どうやってあそこから抜け出してきた?」
二人は目を合わせるが、無言を返した。
「言いたくなければ別にいい。後で、監視モニターと、解除コードの脆弱箇所を調べれば済む話だ。二つ目、君達は、私以外の9人を倒した。全員生きているが、しばらく、この仕事はできそうにない。君達が思う以上にこの仕事は、デリケートだからね。そして、このことを私は上に伝えないといけない、そうすると当然だが、私の処分も下される。減給か、降格か。どちらにせよ、困ったことだ」
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