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コロナ渦中の闘病日記 -26,術後のお風呂事情-
風呂が大好きな私にとって術後は苦痛だった。1日の締めにシャワーを浴びたいが(そもそも浴槽は要介護の方のみ使用可)実はベッドから起き上がるのさえやっとで、シャワーなど論外だった。
それよりも恐怖だったのが傷の洗浄だった。開胸手術後の合併症の1つに傷から菌やウイルスが入る感染症がある。
動けない間と、全身シャワーを浴びられない間は看護師がベッドの上で傷を洗ってくれた。
「お傷がきれいですね!」
そう言われても首にはCVが刺さったままで思うように傷を見られない。というか見たくない。
慣れた手付きて大人用の尿取りパッドを取り出し土手のように傷の周りを覆われた。約20センチ弱の縦の切傷のみ洗浄する。
ペースメーカーの電極となるリードはまだお腹から突き出たままなので濡れないようガーゼが巻かれたままだ。(2つ穴が開いていて気味が悪い)
シャカシャカシャカシャカ…
出た!今でもトラウマになりそうなシャカシャカ…。ビニール袋に水と液体石鹸を入れて混ぜ合わせ、泡を作る。その泡を胸の傷にまんべんなくのせ傷の汚れを泡で浮かせ取り除く。
最後は水で流してガーゼで泡を拭き取り、終わり。
と、ざっと説明すれば容易いが、痛い!じゅくじゅく地味に傷にしみる!
本来自分でやるべきなのだが、胸骨を切ると上半身の筋力もがくっと落ちるので起き上がるのさえ困難だ。
腕にもろくに力が入らないし、洗浄をお願いするしかなかった。
気分はまな板の上の鯉。されるがままに大人しくしていた。今となっては良い思い出である。
面白かったのがベッドの上でシャンプーをして貰えたことだ。術後3日目の日曜日に遣って貰った人生初のベッドの上でシャンプーで介護用オムツが大活躍していたので印象に残っている。
多分5~6枚頭の下にベッドが濡れないようにオムツを引き、美容室でやって貰うようにぬるま湯で濡らし、普通にシャンプーして貰った。
「お痒いところはありませんか~?」
痒いどころか極上である。
目をつぶって少しうとうとしてしまった。
介護用オムツは本当に吸引がよく、ボトルに水を入れて洗い流してもベッドまで濡れなかった。パジャマは少し濡れたが、看護師が「あら、濡れちゃったわ。着替えましょう」と言い、上だけ着替えた。
因みにパジャマはレンタル。甚平だったが、頭から被るタイプだと傷に触って痛いので前開きの甚平は非常に助かった。
ドライヤーで乾かして貰い、至れり尽くせりに感動した。
術後4日目から下半身のみシャワーが許可された。喜んでシャワー室に向かったのつかの間、シャワーから出るお湯に恐怖を感じた。
犬や猫がシャワーを嫌がり逃げ出す理由がはじめて分かった。怖い。うまく言えないがシャワーからお湯が出てくるのが何か怖い。
頭ではただのシャワーだしと分かっていても身体が拒否をする。足をプルプル震わせてさーっと腹から下を洗い流すので精一杯だった。
リードが2本抜けてからは全身のシャワーが許可されたが、今度は抜け毛にビックリした。恐らく手術前後からまともに栄養を取れていなかったので頭皮まで栄養が回ってないのだろう。
髪をひとすくいすると、ごっそり毛が抜けた。あぁ、足元が毛だらけ。後に入る方もいるため、念入りに髪を排水溝に流した。
…掃除の方、ごめんなさい。
因みに今この日記を書いている術後2ヶ月経過した時点で実は湯船に浸かる許可は下りていない。
湯船は雑菌の温床だから(!)傷が完全に塞がるまで湯船は禁止。勿論、温泉にも行けない。
コロナのご時世に旅行に行く気にはなれないので温泉は良いとして、湯船が駄目とは。
風呂好きにはちょっと辛い術後である。
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