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そんな会話をした数か月後——
澄み渡るような青い空。
霧の多い国、フォグラードにおいて珍しいほどの晴天だ。
王宮の庭園は、手入れの行き届いた草花が咲き誇り、光を受けてキラキラと輝いている。
綺麗な山吹色のドレスに身を包んだアイリーンは、初めて見る王宮の庭園に感動していた。
「まあ! なんて美しいのかしら」
思わず感嘆の声を零す。
「アイリーン、大人しくしていなさい」
「……分かっています。お父様」
アイリーンはしぶしぶと言った様子で、今にも駆けだそうとしていた体を止めた。
花好きの彼女の目は名残惜し気に、花壇の方を見ていたが、父と母に睨まれては大人しくするしかない。
両親の目的は、娘に美しい花々を見せる事ではなく、娘を花として王太子様に愛でていただくことなのだから。
(これも限定版三冊のためよ!)
アイリーンは心を強く持ち、花の誘惑を振り切る。
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