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「彼女の探偵業を全面的に支援する条件に、二週に一度王宮に上がらせるよ。もう母上にも話は通してるから」
「は!? うっそだろ!! なんでおまえっ。アイリーンのこと好きじゃないだろ!?」
「うん。別に恋愛感情はないよ。会ったのも二度目だし。面白い子だから興味があって」
「おい」
笑って言うエドガーに、アーサーの顔が険しくなる。
「ごめん。彼女のことは本当に素敵な子だと思ったんだよ。家柄も問題ない。私は立場上、恋愛結婚は望めないだろう? それなら少しぐらい、興味の持てる子を選びたいんだ」
「お前……」
妹を大切に思う兄として、恋愛感情もなく、妹を面白がり、ちょっかいを掛けようとしているエドガーに怒ったはずが、彼の声に滲む諦めに語気を弱める。
書類をこなすエドガーの表情は見えない。
カチカチカチ――
静かな執務室に、柱時計が時を刻む音だけが響いた。
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