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ファイル12 孤児と盗まれたパンー前編ー
アイリーンは立派な名探偵を目指して、日々推理力を磨き、情報収集を行っている。
エドガーとの契約を結んで以降、情報源として自宅の王族関連の書籍を読み終えた彼女は、王都にある王立図書館にも足を延ばし、捜査の手を広げていた。
そんなある日。王立図書館での捜査を終えたアイリーンとお供のマギーは、買い物や散策を楽しもうと平民街を見て歩くことにした。
アイリーンは普段訪れる貴族街の商店とは違った街並みに、はしゃいだ様子であちこちの店を見て回っている。
特に美味しいスイーツや紅茶、雑貨屋に目がない彼女は、可愛らしい雑貨屋の前を通るたびに足を止めるので侍女兼護衛のマギーは少し呆れたようにアイリーンを見守っている。
「次はあの店に行きたいわ! 後はスイーツも見に行きましょ」
「お店は逃げませんから、足元に気を付けないと転びますよ」
マギーに注意されたアイリーンは、ぷくっと膨れて見せる。
「もう! 子供じゃないもの。分かってるわよ」
購入したショップバックを持っているマギーは、店舗を見ながら自由に動きまわるアイリーンを追いかける。
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