15人が本棚に入れています
本棚に追加
飲食店が立ち並ぶエリアに入った二人は、前方の店先に人だかりが出来ていることに気付いた。
「ん? 何かしら?」
「どうやらパン屋の前で揉めているようですね」
「行ってみましょう!」
「気を付けてくださいね」
アイリーンは心配そうなマギーを連れて、人だかりをかき分ける。
一番先頭まで来た二人が見たのは、パン屋の前に小汚い格好の子供達と、パン屋の女店主らしい人が対峙しているところだった。
女店主が子供達に怒鳴っているようだ。彼女の手には、丸めた新聞紙がある。
十歳に満たないであろう少年と、五歳ぐらいの女の子。少年は女の子を後ろに庇う形で、パン屋の女店主に立ち向かっていた。
「アンタたち! いい加減にしなよ! まだ認めないのかい!?」
「違うよ! 僕たち盗んでないんだ!」
「正直に言うなら許してやるって言ってんだよ! なんでまだ嘘を吐くんだい!?」
「だから、違うって言ってんだろ! このおばさん!!」
「おばっ! 誰がおばさんだ!」
熱くなった店主が新聞紙を振り上げ、子供たちが叩かれると思い咄嗟に目をつぶった時だった。
「あの~、少しよろしいかしら?」
「ちょ!」
マギーの制止も聞かず、アイリーンが店主に声を掛けた。
最初のコメントを投稿しよう!