15人が本棚に入れています
本棚に追加
アイリーンは両親の表情など見えていなかった。
ただただ、胸の高鳴りをやり過ごすことで精一杯。
(本当に、なんてことなの……)
まるで愛読書に出る怪盗の仕業のようにあっさりと。
彼女にとって初めてであったソレは、驚くほどあっけなく奪われてしまったのだ。
僅かな時間、視線が絡み、笑みを見た。たった、それだけで——
アイリーンの心は、あっという間に美しい夜空の瞳の虜となった。
(エドガー殿下、なんて素敵なの。まるで、怪盗貴族のようにするりと私の心を奪ってしまわれた。きっと殿下は——怪盗なのだわ!)
そしてここに、恋心窃盗犯、怪盗プリンスが爆誕した。
最初のコメントを投稿しよう!