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ファイル13 孤児と盗まれたパン―後編―
パン屋の前でアイリーンは注目を集める。
「皆さん! 今から私がこの事件の真相をお話しますわ!」
「真相だって!?」
「どうせあのガキだろ」
ざわつく野次馬を視線で黙らせると、彼女は名探偵らしく左右を行ったり来たりしながら推理ショーを始めた。
「カギとなるのは足跡です。この道には少年たちの足跡が残っていました」
そう言ってアイリーンは、地面に残る子供達の足跡を示す。
「彼らの足跡をたどっても、パン屋の前の道で止まっており、店先には届いていません。彼らはパンを盗んでいないということが分かります」
「そ、そうなのかい? じゃあ犯人は誰なんだい?」
驚く店主に、アイリーンはびしりと別の足跡を指さした。
「こちらに特別な足跡があります」
「ん? こ、これは!?」
「わんちゃんのあしあと?」
小首をかしげるリサ。
「そうよ! これは犬の足跡。サイズから、恐らく大型犬でしょう。そしてその足跡は、店先の商品棚まで続いています」
「ほ、ホントだ」
「更にこちらをご覧ください。犬の足跡から一定の間隔で、隣に別の足跡があります。大きな足で、恐らくは男性。きっとこの犬の飼い主です」
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