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「飼い犬が犯人!? じゃ、じゃあなんで飼い主は注意しなかったんだい?」
「飼い主の足は、店先の間際で止まっています。恐らく自分の陰で犬の行動を周りから隠し、犬に盗ませたということでしょう。そして……時間帯から考えて、犯人はこの野次馬の中で、犬を連れている人物」
彼女がそう言うと、野次馬の中からマギーが、大きな羽根のついた、つばつき帽子にワンピース姿の老婆と犬を連れてきた。
「わしゃ知らんわ!」
そう言いながら暴れている老婆。暴れた拍子に、するりと頭から帽子が落ち、顔があらわになると見物の野次馬たちからどよめきが上がる。
「な!」
「じいさんが、ワンピース着てら……」
マギーが確保した人物はアイリーンの推理通り、男性だったのだ。
「ご、誤解じゃ! わしゃそんな店のパンなんか盗んでおらん!!」
そう言って暴れる男性が動くたび、ごそごそと、男性にはないはずの大きな胸部が揺れる。
「貴方が犯人ですね! この名探偵アイリーンの目は誤魔化せませんわよ!」
「しょ、証拠はあるのか!?」
「もちろん。だって明らかに怪しいじゃありませんか。そのグラマーなお胸。そこに入っているのは盗んだパンでしょう!」
「くっ、くそぉー!」
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