ファイル13 孤児と盗まれたパン―後編―

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 その後、女装男は騎士団に取り押さえられ、連行された。  パン屋の店主は、アイリーンに頭を下げて礼をする。 「いや~助かったよ! アンタやるじゃないか!!」 「いえ。当然のことをしたまでです」  今度は子供達に向き直ると、視線を合わせて謝罪する。 「アンタたちも決めつけてすまないね。怖い思いをしただろう」 「う、わ、分かってもらえれば……」 「うん」  少し気恥ずかしそうに頬を掻くニックと、愛らしい笑みを見せるリサ。 「ねぇこのパン。四ついただける?」  アイリーンはすっかりお腹が減っているのを思い出した。 「金はいいよ。良かったら持っていきな。アンタたちは恩人だからね」 「いいんですか?」 「ああ! 腹減ってるんだろう?」 ――ぐるぐるきゅ~ 「あ」  アイリーンの腹がタイミングよく鳴り、店主や子供達から笑いが漏れた。 「ハハハ! じゃあまた来ておくれよ!」 「ありがとうございます」 「ありがとうございます! いただきます」  アイリーンとマギーも一緒にパンをもらい、皆でお礼を言ってパン屋を後にした。
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