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その後、女装男は騎士団に取り押さえられ、連行された。
パン屋の店主は、アイリーンに頭を下げて礼をする。
「いや~助かったよ! アンタやるじゃないか!!」
「いえ。当然のことをしたまでです」
今度は子供達に向き直ると、視線を合わせて謝罪する。
「アンタたちも決めつけてすまないね。怖い思いをしただろう」
「う、わ、分かってもらえれば……」
「うん」
少し気恥ずかしそうに頬を掻くニックと、愛らしい笑みを見せるリサ。
「ねぇこのパン。四ついただける?」
アイリーンはすっかりお腹が減っているのを思い出した。
「金はいいよ。良かったら持っていきな。アンタたちは恩人だからね」
「いいんですか?」
「ああ! 腹減ってるんだろう?」
――ぐるぐるきゅ~
「あ」
アイリーンの腹がタイミングよく鳴り、店主や子供達から笑いが漏れた。
「ハハハ! じゃあまた来ておくれよ!」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます! いただきます」
アイリーンとマギーも一緒にパンをもらい、皆でお礼を言ってパン屋を後にした。
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