15人が本棚に入れています
本棚に追加
屈託なく笑う彼女に、今まで張り詰めていた緊張がほぐれたのか、ニックは毒気を抜かれた様に脱力する。
「そっか。はは」
「マギー、私、何かおかしなことを言ったかしら?」
「いえ、通常運転です」
「ははは。こんな変なお嬢様がいるんだ……なぁアンタ、結構上のお貴族様だろ?」
ニックはニヤリと笑ってアイリーンに挑戦的な目を向ける。
「え、何故!?」
「見りゃ分るよ。言葉遣いとかもきれいだし。姿勢とか雰囲気とか、隠しても分かるって」
「そ、そうかもしれないわね」
「お礼に手伝うぜ! アンタの探偵業!」
にんまりと笑顔を見せるニックに、アイリーンとマギーは驚く。
「ええ!? 確かに情報は欲しいけど……」
言いよどむアイリーンに、「ちっちっちっ、舐めてもらっちゃ困るぜ」とニックは人差し指を振って、自信ありげに笑った。
「俺達だって、この平民街で何も考えてないわけじゃないんだ。ちゃんと情報網ってやつがあるんだよ。スラムに住む俺達特有の情報網がね」
「そ、そうなのね」
「それともスラムの人間を近くに置くのは、お貴族様は嫌かい? それなら、やめておくよ」
最初のコメントを投稿しよう!