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途端にしょんぼりと肩を落とすニックに、アイリーンは「うーん」と言いながら悩み始める。
「うーん……決して迷惑ではないのよ! 私たちでは出来ることが少ないから、とても助かるわ。だからこそ、働きに見合う対価が必要なのよ! マギー……」
「なんでしょう?」
マギーは死の宣告をするような、重々しい顔のアイリーンを見て緊張で身をこわばらせた。
(何かとてつもない重大な決断をなさるのだわ)
「あのね――今月から、お菓子代を切り詰めることにするわ。本当は探偵業に報奨金をもらえるようになればいいんだけど……」
「えっ、と…………スタイルキープにも役立ちますし、いいと思いますよ」
マギーは脱力するが、すぐに持ち直して利点を述べた。
アイリーンのお小遣いの使い道はドレスや宝飾品よりも珍しいお菓子や紅茶、ティーセット、本に使われていることを知っていたからだ。
普通の令嬢らしくなるかもしれないという期待を込めて、これ幸いとマギーは乗っかることにした。
「そ、そうかしら?」
「ええ。今後あの方に、頻繁にお会いになるなら身だしなみも必要かと」
「……そうね。では、お菓子代を切り詰める方向で……」
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