ファイル14 恋心窃盗事件―初めての報告会―

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ファイル14 恋心窃盗事件―初めての報告会―

「……ついに、来てしまったわ」  探偵令嬢アイリーン・ポーターは、目の前にそびえる巨大な門と、その奥に見える美しい城に震えながら呟く。  二週間前の定期茶会で、【令嬢ハンカチ窃盗事件】を解決したアイリーンは、何の偶然か、想い人であるエドガー殿下に推理を見られてしまい、何故か王太子自ら探偵業の協力をしてくれることになってしまったのだった。 (あれから二週間。早かったわ……)  今日の彼女は、王太子であるエドガー殿下に、初めて探偵業の報告を行うためにやってきた。 「女は度胸よね」  グッと握りこぶしを作ると、心の中で気合を入れる。馬車はゆっくりと王城の敷地内へと進んでいった。  アイリーンが馬車を下りると、そこには迎えだろう近衛騎士と見たことのある顔の人物がいた。エドガー殿下の側近、クラウスである。 「お待ちしておりました。アイリーン嬢」 「ご機嫌様。クラウス様」 「覚えていただき光栄です。さっそくご案内させていただきますので、こちらへどうぞ」  クラウスに案内され、アイリーンは城内を歩き始める。
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